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クオリティが高すぎるヤンデレフリーゲーム「トリカゴセヴンデイズ」の解説と感想です!




おしりです。

今回は同棲型ヤンデレホラーADV「トリカゴセヴンデイズ」をクリアしたのでその感想と解説を書いていきます。

ヤンデレホラーADVというとなんだかやばそうな響きに聞こえますが内容はサスペンス寄りで主人公の選択肢によってエンディングが変わるちゃんとした普通のADVです。

(まあしっかりと狂った描写や恐怖演出はあるんですけどね)

 

PC用のフリーゲームで今現在ふりーむにて配信中。

クリアまでのプレイ時間は全エンディング到達で1時間半前後でした。

実は本作「トリカゴセヴンデイズ」の製作者は以前紹介した「だいすき」と同じL-I-B 〈ライブ〉様。

ゲームを始めると前作「だいすき」のキョウカちゃんが出てきます。

(他作品とはいえ前作の内容を思い出してゲーム開始前から不安な気持ちに・・・)

だいすきについてはこちらで詳しく解説しています。

本作トリカゴセヴンデイズの配信ページはこちら

実はスマホにも対応していてこちらのページからプレイできます。

あらすじ

主人公が目を覚ますとそこは大きな屋敷でした。

主人公は目を覚ます前の記憶を失っていてここがどこなのか自分が何者なのか名前すらも思い出せません。

状況を飲み込めない主人公は混乱しつつも屋敷内を歩き回り噴水のある中庭にたどり着きます。

そこに現れたのは主人公を看病していたという女性で名前は籠宮(かごみや)カレン。

主人公の名前はソウヤということを教えてもらいます。

(前作だいすきと違い名前は自由に決められますがデフォルトネームがソウヤなので以下ソウヤ。)

他にも今ソウヤが置かれている状況について聞くとこの屋敷はカレン一家、つまりは籠宮家のものでカレンとソウヤの二人しか住んでいないこと、ソウヤには家族がいないため恋人であるカレンがこの屋敷でソウヤの看病をしていたことを聞かされます。

まあ簡単に言うとソウヤは女あり、お金あり、衣食住が約束された

ヒモ生活を手に入れることに成功!!

こうしてカレンとの同棲生活が始まります。

とまあ、こんな感じのあらすじですが冒頭でも説明した通りヤンデレ系のサスペンスアドベンチャーゲームなのでこのまま平和に終わるわけもなく意外な展開が繰り広げられます。

かなり多くのネタバレを含みますのでご注意を。

というかこの記事をすべて読めばプレイする必要がないくらいに解説していきます。

本作はADVとしては巧みな構成なので面白そうと思った方は実際にプレイすることをおすすめします。

カレンと過ごす1週間を描いたストーリー

本作はタイトルにも書かれている通りソウヤとカレンが過ごす1週間の出来事が描かれます。

ソウヤが目を覚ましてから2日目あたりまでは童話「青い鳥」について話したりお茶を飲みながらカレンの話を聞いたりと平和な日常を過ごします。

童話「青い鳥」の重要な部分は”本当の幸せは手の届く身近なところにある”という点。

これがトゥルーエンドにて大きな意味を持つこととなります。

「青い鳥」は実在する童話で本作のテーマともいえる部分なので覚えといてね♪

3日目あたりからソウヤは自分が記憶喪失であるということに対して焦りを感じ始めます。

この焦りからソウヤはカレンに入らないように言われていた時計塔とカレンの部屋に無断で侵入します。

そこで見たものは容姿端麗で性格も良いカレンからは想像もつかないようなもので

カレンの部屋からは不安な気持ちを書きなぐったかのような日記

時計塔では怪しげな「万能の力」もとい何かを作るための方法を記した謎のメモを見つけます。

カレンはこれらのことについてソウヤには何の説明もせず「きみには関係ない」と言い放ちソウヤの行動を制限します。

この一件からソウヤはカレンに不信感を抱き目を覚ます前に何があったのか、カレンが隠している万能の力が何なのか、真実を探ることに決めます。

こうしてソウヤはカレンに内緒で書物をあさったり本人からそれとなく話を聞いたりして情報を集めていきます。

まあ普通にバレるんですけどね

ですがそれでもソウヤは自分とカレンは過去に何があったのか、カレンとこの屋敷に隠された秘密について最後まで探し続けます。その結果は・・・・

必ずバッドエンドへたどり着きます

通常のエンディングは全部で3つ、そのどれもがバッドエンドです。

バッドエンドではどのエンドもソウヤが死んで終わりになるのですがカレンは「またすぐに会える」「目が覚めれば元通り」といった”まるで人を生き返らせることができるかのような発言”をします。

 

3つのエンディングを見ても何が何やらさっぱり謎が解明されない本作ですがどの順番でも良いので3つのエンディングを回収すると・・・

トゥルーエンドが解放されます

ここからがクライマックスです。

 

結末が両極端なトゥルーエンド

トゥルールートではソウヤが目を覚ます前に夢をみます。

その夢ではもう一人のソウヤが話しかけてきて今まさに目を覚まそうとしているソウヤに一週間を繰り返していることや目を覚ますたびに記憶を失っていることを教えてくれます。

つまりはトゥルールートに入る前のバッドエンド3つはつながっているということです。

この夢を見たことでソウヤは目を覚ました直後に記憶を取り戻しこれまで真実を追い求めて得た情報をもとに

 

万能の力とは錬金術であること

自分は錬金術によって作られた人造人間であること

人造人間は1週間しか生きられず毎週死んでは作られていること

自分とカレンは恋人ではなかったこと

 

これらの衝撃の事実が判明します。

全ての元凶ともいえるカレンにこのことを話すとカレンは自分の目的が「ソウヤと一緒にいること」ただそれだけと言います。

(このシーン最高にヤンデレホラーゲーム)

ですがちゃんと人間らしい感情も持ち合わせていたようでカレンはすべてを認めてソウヤに謝りました。

ここで本作最後の選択肢であるカレンを肯定するか否定するかの2択を迫られます。

この選択肢でエンディングは大きく変わるのでADVとしてはわかりやすい良いクライマックスですね。

 

せっかくなのでトゥルーエンドを2種類解説していきましょう。

まずはカレンを肯定した場合のルート「Reトリカゴセヴンデイズ」の方から。

お互いに事情を知ったうえでソウヤはこれまで通り自分を作り続けることを肯定、承諾します。

それに対してカレンは大喜び、ソウヤが許してくれるなら気が済むまで一緒に暮らせるのですから何の迷いもなく隠し事もせず幸せな日々が送れます。

客観的にみれば倫理的にかなりやばい関係ですが間違いなくカレンにとってはハッピーエンドです。

もう1つのエンディングと比べてこちらはあっさりとした終わり方です。

 

次はカレンを否定した場合のルート「アオイトリ」。

ソウヤは生きる意味を見いだせず自分に依存しているだけのカレンに対して死を受け入れて前向きに生きていくように説得します。

カレンはソウヤの言葉を重く受け止めソウヤと別れることを決意します。

そこでカレンがとった行動は・・・

自殺でした

エピローグにてカレンの過去が明かされます。

籠宮家は資産家でありその長女であるカレンは跡取りとして行動、言動、勉強、更には先祖から受け継がれてきた錬金術について厳しく指導されてきました。

そんなカレンに自由は無く「否定」されてばかりの毎日、ずっと死にたかった毎日を送っていましたが死ぬ勇気もなく”ただ死んでいないだけ”の状態です。

そんなカレンの前に現れたのが生前のソウヤです。

カレンはこの日をきっかけにソウヤに依存することになりましたが何度も繰り返した1週間の中でソウヤに否定されカレンは自殺こそが自分にとっての幸せだと確信したのです。

冒頭でも少し触れた童話「青い鳥」の”本当の幸せは手の届く身近なところにある”についてですがカレンにとっての本当の幸せは価値のない人生を終わらせること、つまり死こそが本当の幸せだったということです。

確かに死は手の届く身近なところですね。

こうしてカレンは最期を迎えソウヤも自分を作る人間が居なくなったことで6日後に死んでしまいトリカゴセヴンデイズという物語は二人しかいない登場人物が二人ともいなくなるという形で綺麗に幕を閉じます。

いやぁ~尖ったゲームだった!

妄想に近い考察と感想

本作は「だいすき」と同じ製作者ということであちらと同じような内容かと思っていたんですが良い意味で全然違いましたね、

ヤンデレ系ヒロインがメインという点は同じですがそれ以外の全てがパワーアップしています。

 

まず初めに驚いたのがキャラの絵や動き、背景ですね。

前作の手書き感のある絵も普通に好きですが本作の今風で綺麗な絵柄も素晴らしいと感じました。

複数の表情やアップでの会話シーンに瞬きといった動きが加えられていてちゃんと作りこまれています。

 

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特に会話中カレンの瞳から輝きが消えることが何度かありましてこれがより一層ヤンデレ感を増していて不気味に思えましたね。

 

物語の構成としては真実を求めながら3つのバッドエンドを回収、その後トゥルーエンド2つに分岐という構成なんですがこれが本作の内容とうまくかみ合っていて面白いですね。

各エンディングの最後でカレンのすぐに会えるという発言から「これループ物じゃね?」と勘違いさせられますし噓と事実が混ぜられたカレンのセリフを疑いながら読み進めるのもサスペンスっぽくて楽しいです。

 

ラストのトゥルーエンドは2つともすごく好きです。

カレンを否定した時の「アオイトリ」エンドはヤンデレADVらしく多くの血が流れるしヒロインであるカレンの過去の話が明かされたり物語の重要な部分に触れていくのでかなり満足できました。

エピローグではヒロインの過去の話が明かされるところは前作「だいすき」と似てますね。

バッドエンドではありますがゲームの終わり方としてはこちらの方が好きです。

 

もう一つのエンディング「Reトリカゴセヴンデイズ」は割とあっさりとしたエンディングですが面白いところは考察ポイントが多いところですね。

このエンディングの後もカレンは毎週ソウヤを作って幸せな毎日を送ると思うんですが客観的にみるとカレンは錬金術を悪用した精神異常者でお互い狂っているカップルの誕生です。

ですがぼくは毎週ソウヤに記憶が引き継がれればハッピーエンドだと思います。

ソウヤはカレンが自分を生み出し使い捨てていることを承諾しているので倫理的な問題は無し。

1週間ごとに記憶を引き継いだソウヤを生み続けることができればそれは人造人間といえど今後身体を作り変えるだけで生き続けるということになるので普通の人間と大した違いはないのでは?

そもそも人間の身体は定期的に細胞が入れ替わるのでソウヤの場合は細胞の入れ替えが1週間という短い期間になっているというだけで普通の人間と変わらないのではないかと思います。

 

結局人間の本体は脳にあるのでぼくは脳に詰め込まれている記憶さえ引き継がれればソウヤは生前の記憶を失っただけでほとんど完璧な生き返りをしているんじゃないかと思います。

(人造人間は1週間で身体が壊れるという設定ですが記憶については詳しく触れておらずカレンも記憶を取り戻したのは今回だけのイレギュラーかもしれないと言っています。)

恐らくですがトゥルールートでソウヤが記憶を取り戻して目を覚ましたのは漫画やゲームでよくある臓器の移植でドナーの記憶や性格を引き継ぐ、みたいな現象かと思っています。

まあ錬金術でソウヤを作る過程とか詳しく描写されてないのでぼくの妄想に近い考察でしかないんですけどね。

こういった類の哲学的、倫理的な話が好きな方はパワポケ13雨崎千羽矢ルートEVER17のつぐみでググってみると面白い話がみれますよ。

(まあ色々調べると全部が事実ってわけでもないみたいなので都市伝説やオカルト話と同じ感覚で見てください。)

元ネタは「テセウスのパラドックス」でしょうね。

話が脱線しましたが結局何が言いたいかというとトゥルーエンドは価値観だとか道徳について考えさせられる内容ということです!

 

総合的にみるとかなり面白いADVでした!

各エンディングの見せ方、ヤンデレ、サスペンス要素、シナリオ構成、キャラデザ背景など、フリーゲームとは思えないレベルのクオリティがバグっているゲームです!

 

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