おしりです。
今回レビューするゲームは
NEEDY GIRL OVERDOSE
ニーディガールオーバードーズ
先に言っておくとこのゲーム
神ゲーでした!
というか尖りに尖った内容でその尖った部分全てがブッ刺さったという感じですかね。
なので(移植もされることですし)この記事を最後まで拝見していただければと思います。
概要
まずは基本的な情報から掘り下げていきましょうか。
本作「NEEDY GIRL OVERDOSE /ニーディガールオーバードーズ」は2022年1月21日にSteamにてリリースされたゲームで今(2022年5月)では40万以上の売り上げを記録しておりSwitchへの移植も決定しています。
プレイヤーは最強のインターネットエンジェル(配信者)を目指す承認欲求強めな女の子あめちゃんの彼氏”ピ”としてあめちゃんに指示を出しフォロワー数100万人を目指すことになります。
配信の時にはあめちゃんから超てんちゃんへと変身します
エンディングはバッドエンドを含めて21週類と隠しエンドが1つ、最長で1か月間あめちゃんと共同生活をします。
平成後期〜令和のインターネットにおける面白さや恐ろしさを題材としておりその様子を綺麗なドットで描いています。
ここから先はある程度のネタバレを含みますのであらかじめご了承ください。
ゲーム性だけは普通の育成シミュレーション
では初めにゲーム性について触れていきましょう。
このゲームの目的はあめちゃんのフォロワー数を100万人以上にすることです。
そのために配信でオタク達から指示を得るのですがあめちゃんのステータスには気を配らなければなりません。
ステータスはフォロワー、ストレス、好感度、やみ度の4つがあります。
フォロワー数はあめちゃんの行動に直接関係するわけではないので重要なのはそれ以外の3つです。
ストレスとやみ度(病みであり闇でもある)は「えっちなはいしん」「やみはいしん」といった過激な配信を行うと大きく上がってしまいます。
高くなりすぎるとゲーム画面が斜めになったりリストカットミニゲームが始まったりとあめちゃんが暴走状態に突入します。
予定が崩れるので要注意です。(しかも怖い)
好感度は0になるとあめちゃんがピに愛想を尽かして別の男を口説き落とします。
つまりはゲームオーバー、この好感度はピの寿命でもあるのです。
これらのステータスに注意しながら朝・夕方・夜の3ターンで構成された1日を繰り返しながら最強のインターネットエンジェルを目指します。
まあゲーム性はこんな感じの普通の配信者育成シミュレーションゲームです。
各ステータスは簡単に上げたり下げたりできますしオートセーブなので特に難しいところはないですね。
ですがぼくがこのゲームを語る上で”これだけは死んでも伝えたい”と思っていることはこれじゃないんです。
次が本題です。
作り込まれた演出とエンディング
本作の魅力はゲーム性でもなければ最強の配信者になるというストーリーでもないです。
では何がそんなに面白いかというと、、
演出です
このスクショを見てもらえれば良くも悪くも察すると思うんですがゲームの作り込みがすごいです。
エンディングは21種類ありこれもそのひとつです。
このエンディングはあめちゃんの住所が特定され正気を保てなくなったあめちゃんの末路を描いたものですが分岐後のホラーな演出にはビビらされました。
一応ホラーゲームではないはずですがそこらへんのホラーゲームよりも怖いです。
かといってエンディングがこういったホラーなものばかりかと言うとそういうわけでもなく
AVデビューしてしまったり
教祖様になったり
他にもピと仲良くなりすぎて毎日「えっちなこと」しかできなくなったりととにかく幅広いです。
そして特徴的なのがどことなく現実味を帯びているところ。
最初はそこまで過激ではなかった配信者がえっち方面でフォロワー数を稼いでいきAVデビューなんてめちゃくちゃありそうじゃないですか?
エンディングは大体こんな感じなのですがあめちゃんはとにかく表情豊かです。
情緒不安定なあめちゃんはおくすりを常備しています。
最初は薬局で売ってそうなおくすりしか使えないのですがゲームを進めていくと「まほうのけむり」や「まほうのきって」といった明らかにやばそうなおくすりが出現します。
まほう系のものや適量以上に使うとストレスを大きく減らすことができます。
しかし適量以上のおくすりを服用したあめちゃんは、、、
こうなります
あまりにもサイケデリックではありますがエンディング以外にもこういった手の込んだ演出が仕込まれているので退屈になりがちなゲーム性でありながらも常に楽しめました。
バッドエンドでは「伝説になる」とか言って薬物生配信を始めてしまうぶっとびっぷりも本作の魅力の一つです。
画像だけだと伝わりにくいのが残念ですが効果音やBGMも使い方が上手いです。
ぽけったーというSNSではその日の行動に応じてあめちゃんが自撮りをあげてくれるのですがこの写真もコスプレ衣装や昔の写真など、何パターンものあめちゃんを見ることができます。
リアルなメンヘラ女をここまで忠実に再現しているゲームも珍しいです。
これらは前述した通り実際にプレイしているからこそ実感できるものなので一人でも多くの人に動画で満足せずに自分の手でプレイしていただきたいです。
幅広いオマージュ
これはおまけ的な部分なのですが本作はとんでもない量の作品をオマージュしています。
そのジャンルは主にアニメやゲームで古いものは20年以上前のものもあります。
セーブデータを選ぶ画面ではエンディングのタイトル名が表示されるのですがこれらはほとんどがオマージュです。
FF7の”心無い天使”やアダルトゲーム「臭作」などなど、年代とジャンルが幅広いです。
ゲーム内では女神転生の「すぐにけせ」が低確率で発生、こういうのはわかりやすいですね。
オマージュというほどのものではないですが配信中のセリフやLINE(のようなアプリ)での会話も流行ったゲームやアニメを元ネタとしているやりとりも多いです。
東京卍リベンジャーズの「ひよってるやついる」も出てきます。
まさかこんな最近のセリフも出てくるとは驚きです。
プレイ中に気づけるオマージュが必ず見つかると思うので今後プレイする機会があれば是非とも探してみてほしいです。
総評
以上がニーディガールオーバードーズが神ゲーである所以でした〜
何度も言いますが没入感がすごいゲームなのでやっぱり実際にプレイしないとこの魅力は伝わらないです。
まとめるとこんな感じですね。
ゲーム性はシンプルな育成シミュレーション。
ストアページのレビューに書いてある通りストーリー展開はどれも予想の斜め上
何をしても想像もしなかった結末を迎えるところが面白い
オマージュ、宗教、薬物、自殺とにかくなんでもありなエンディングは必見。
特に薬物や病みのサイケデリックで過激な演出には度肝を抜かれる。
ここ数十年間の流行った作品をうまいことゲームと融合させまくった結果できあがった作品。
そんなふうに感じられました。
イメージとしてはこんな感じ。
育成シミュレーションにいろんな要素が付与されて完成したものが本作。
こんなに尖った作品はそうそう生まれないので一人でも多くの人にプレイしていただきたいです。
んでもってここで一区切り。
ここから先はトゥルールートの感想です。
トゥルールートについては内容を知ってしまうとこのゲームの印象が完全に変わってしまうのでネタバレ注意
というか未プレイの方は絶対に見ないでください!
トゥルールート Data0
全てのエンディングを迎えたプレイヤー、ピはセーブデータ管理画面で突如現れる「Data0」をクリックします。
そのデータではあめちゃんが一人で、しかもめっちゃ高速でフォロワー数を増やしていく画面が流れます。
メッセージでは「あめちゃん一人でやってみようかなって」そういうわけでこの世界線ではあめちゃん一人で最強のインターネットエンジェルを目指します。
30日を迎えるまでにあめちゃんは病んだりおくすりでオーバードーズするしで大変なのですが無事にインターネットエンジェルになります。
こうして目的を達成したあめちゃんとピはお別れの時を迎えます。
あめちゃんが画面から去った後に「ひみつのこと」を閲覧することができます。
そこにはピとあめちゃんの関係性、ピとはどういった存在なのかが記されていました。
簡単に言うとピはあめちゃんのイマジナリーフレンド的な存在だったというオチです。
ですがこれも唐突というわけではなく配信にてイマジナリーフレンドについて触れていたりピが写真に写ることは一度もなかったりと少しだけそれらしい描写はありました。
こうしてdata0世界線にて最強のインターネットエンジェルになれたあめちゃんにとってピは必要無い存在。
あめちゃんを満足させることができなかったピはここでお別れです。
こうしてピとしてこのゲームを進行してきたプレイヤーは一方的に別れを切り出されてしまい唯一の登場人物だったあめちゃんは出てこなくなります。
ですが21のエンディングを経てあめちゃんの「めんどくせえ女」っぷりを味わっているからこそ一人でフォロワー数を200万人獲得するあめちゃんに感動にも似た奇妙な感覚を覚えました。
この終わり方にカタルシスは感じられませんが「ああ、クリアしたんだな」という気持ちにはなりました。
それと同時にもう起動する気も無くなりました。
少し哀しいですが最後のルートとしては素晴らしいと思います。
一見ピやおくすりに依存しているようにしか見えなかったあめちゃんという女の子ですが実はここまでやりこまされた我々プレイヤーこそがこのゲームに依存していたのかもしれません。
一部のエンディングやゲーム内のSNSから読み取れるように「インターネットに依存するとハッピーエンドは迎えられない」というのも本作がプレイヤーへ伝えたかったメッセージなのかもしれません。
今の時代ネットとはほどほどに向き合っていきましょう。