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人を選ぶ良作!?デスゲームノベル「トガビトノセンリツ」を評価します!




おしりです。

今回はスマホアプリ「トガビトノセンリツ」をクリアしたので可能な限りネタバレせずに評価と感想を書いていきます。

本作のシナリオ担当は当ブログの過去の記事でも紹介させていただいたレイジングループ、デスマッチラブコメ、鈍色のバタフライと同じでamphibian/あんひびあん様です。

 

あまり重要では無いですが鈍色のバタフライと同じ世界で時系列的には鈍色のバタフライ→本作トガビトノセンリツのようです。

 

ジャンルはADVでデスゲームを題材としたもの。

謎解きやアクションといった要素は一切無く読み進めるだけです。

 

スマホで配信されていて価格は610円。

恋愛要素が多めのデスゲームノベル

 

本作を一言で表すならば

恋愛要素が多めのデスゲームノベル

であり補足すると人を選ぶ内容です。

 

主な内容は曲者揃いの高校生を集めた管弦部を中心とするメンバーが「プリズナーゲーム」という敗北=死のデスゲームに巻き込まれ、その様子を描いたものとなります。

物語は主人公を含めた管弦部の生徒8人と顧問の千鶴先生、それと部員の弟で校外活動に出かけるところから始まります。

校外活動ではどういうわけか山へ出向きそこで出会ったくるみという謎の多い女の子と部員の合計11人で行動することになります。

その山で一同は防護服にサスマタというあまりにも奇妙な格好をした集団に襲われてしまいます。

なぜ襲われるのか?この集団がなんなのか?謎だらけですが顧問の千鶴先生は生徒を守るために護身術で立ち向かいますが普通にやられます。

続いて生徒諸君もサスマタに搭載されているスタンガンのような機能で感電、気絶させられ山で意識を失います。

気が付けばそこは体育館のような建物の中、どれくらいの間眠っていたか、ここはどこなのか、全く不明ですが千鶴先生以外の10人は無事であることが確認できます。

 

その後部屋に設置されているタブレットからサスマタ集団のボスであろう誘拐犯からの「プリズナーゲーム」という命をかけたゲームに参加するよう指示されます。

全員ドッキリかなにかかと動揺しますが別室で監禁されていた千鶴先生が電気椅子で処刑される様子を映し出されその場にいた全員が”自分の命は犯人の掌”ということを確信します。

 

閉鎖空間、行動の制限、殺人ゲームの強要、という極限状態の中主人公たちはデスゲームに呑み込まれていく。

 

あらすじとしてはこんな感じです。

 

ここまで説明しておいてこんなことを書くのも気が引けますがやってることは前作、鈍色のバタフライと大体一緒です。

鈍色のバタフライが気になる方はこちら

プロローグはデスゲームのテンプレですがゲーム内容は囚人と看守の真理と関係性を再現するコミュニケーションゲームだそうです。

 

参加者は看守と囚人のどちらかの役割を与えられそれに応じた施設の部屋の鍵を渡されます。

 

作中で険悪な感じに描かれることはありませんが看守の鍵の方が便利で囚人の鍵はほとんど役に立ちません。

 

囚人はトイレに行くにも解錠できる鍵がないので看守と付き添うことになります。

 

それ以外は囚人側にのみ役割が与えられその役割について囚人は何があっても他人に明かしてはいけません。

その役割の中で最も重要なのが殺人鬼という役割。

 

殺人鬼は参加者全員が自室に居る夜の時間に看守を殺すことができます。

 

ここまで聞くと一見人狼ゲームを元にしたデスゲームに聞こえますがゲームの進行はほとんど運営に左右されています。

 

例えばですが毎晩看守を1人殺害できる殺人鬼、人狼ゲームでいうところの人狼の役割。

元ネタの人狼ゲームならば夜は人狼のターンで自分にとって都合の悪い参加者を消せるチャンスですがプリズナーゲームにおいては施設内の構造の関係で殺せる相手は殺す瞬間にしかわかりません。

殺害の時間になったら「殺人者さん、今日あなたが殺す相手はこの看守さんでーす」

こういうことです。

しかも殺害イベントは強制イベントなので殺人者はその夜運営に当てられた人間に絶対に顔を見られてしまうので相手が誰であろうとも、殺さなければ次の日に自分が殺人者であることが暴露され看守に処刑されゲームは終了します。

(殺人鬼が処刑されれば全員が助かる)

それ以外にも囚人側に与えられた役割についてはデメリットしかないような役割が多い等、敗北=死というルールの中では誰もが行動を起こしにくいゲーム性となっています。

少し長くなりましたがデスゲームの概要はこんな感じです(重要な要素もありますが長くなるのでこのへんで、、)

しかし!

このゲームの重要な部分はそこじゃないんです!

デスゲームノベルなのにデスゲームは重要じゃないってどういうこと?

プリズナーゲーム自体が面白くないかと言われるとそうではないんですがやはり前作である鈍色のバタフライのほうがゲーム性に重点を置いていたしレイジングループやダンガンロンパのように質の良い心理戦を繰り広げているかと問われればYESとは言えません。

 

ではどこに注目すべきかというとそれは登場人物全員の

感情の動きです

本作は恋愛要素が少し強めで各登場人物に好きな人や憧れの人がいます。

 

それらがプリズナーゲームの参加者同士で命懸けのゲームをしている真っ最中で徐々に明らかになってきます。

ある人は参加者を庇い、ある人は殺されることを受け入れたりと意外な最後を迎える人物が多いのですがそこに至るまでの心情描写が細かいです。

 

それに加えて恋愛方面だけで無く参加者が持っていた隠された人格も目が離せません。

 

実は何も感じない、実は〇〇という衝撃の事実が明かされていくのですがどれもデリケートな問題でほとんどの参加者は狂っている部分があります。

狂っているが故に先の展開が全く想像できないところも魅力です。

 

周回前提のシナリオ構成

このゲームは2周することが前提となっています。

 

初週クリアでも一応物語の結末を迎えることはできるんですがなんというか・・細かい部分が明かされずモヤモヤが残る終わり方をします。

クリア後に解禁される隠しモードをONにすると主人公以外の登場人物の心の声も聞こえるようになり主人公がいないところでどんなやり取りが行われていたのかが判明します。

 

1周目では結局明かされなかった参加者の殺害方法や協力関係について、誰が何の役割を与えられていたが判明しスッキリします。

同じ物語を読み進めるのは少し面倒ですが重要な場面を補完してくれるので絶対に2周することを推奨します、

 

1周では主人公が1番苦しんでいるように見えますがそれぞれの発言と行動が命懸けであったことがわかります。

 

更に2周目ではもう1つのエンディングが追加され本作は幕を閉じます。

全体の流れとしてはこんな感じです、

 

総評

 

デスゲームものでありながらその内容はデスゲームと恋愛(心情描写)を半々ぐらいに描いている少し変わったノベルゲーム。

 

ぼくの感想を言わせてもらうと楽しめましたがやっぱり好みが分かれる作品だと思います。

 

その理由としては本作を構成する要素が恋愛とデスゲームの半々になっているところでぼくはレイジングループ、ダンガンロンパ、鈍色のバタフライのような緊張感のある議論やデスゲームが好みなので(雑ではないにしろ)恋愛要素を入れるよりかはもっとデスゲームによる衝撃の展開や見事な伏線回収を期待していたからです。

 

全体的にみると良作だと思いますが人狼ゲームとはかけ離れた内容で(作中でも人狼ゲームという単語は出てこない)あくまで登場人物の感情の変化を楽しむ作品でしたね。

とはいえそこらのノベルゲームと比べたらコンパクトでありながら面白いのでこういうジャンルが好きな人は勝手後悔しないと断言できる出来です。

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