おしりです。
レイジングループやデスマッチラブコメでお馴染みのシナリオライター「amphibian/あんひびあん」様。
近年はフリーのライターとして活躍される予定だそうですがその昔、まだ人類がガラケーを使っていた時代にシナリオを担当した作品
鈍色(にびいろ)のバタフライをご存知でしょうか?
今回はその鈍色のバタフライをクリアしたのでその解説紹介、レビューとなります。
目次
概要
鈍色のバタフライは2010年の8月に携帯電話にて発売されたアドベンチャーゲーム(以下ADV)でスマホ版がリリースされたのは2年後の2012年の9月です。
ジャンルはADVでエンディングは正解ルート1つとおまけ程度のバッドエンドが数種類の実質1本道ノベルゲームです。
ですがスキップ機能やログ、物語の性質上ものすごく重要となる情報はいつでもメニュー画面から確認可能なので最低限の必要な機能は搭載されています。
主な登場人物は9人で主人公を含めた9人が「バタフライゲーム」という人狼ゲームをモチーフとした騙し合いのゲームを強制させられるのが主な内容です。
このバタフライゲームでは敗北=死を意味します。
なので本作を1行で表すならば
命をかけたデスゲームノベル
ですね。
CVは未実装で絵柄も12年前なだけあって古臭さは気になるかもしれませんね。
ボリュームとしてはエンディングまで2時間〜3時間程度のコンパクトな内容です。
ですが複雑すぎない内容でテンポ良く話が進んでいくので実際にやってみると濃密に感じられます。
あらすじ
主人公の鳴河 大介(なるかわ だいすけ)は夏の昼間に意識を失い気が付けば見覚えのない閉鎖空間で目を覚まします。
混乱する中、周りを見渡すと自分と同じく拉致されたであろう人間が自分以外にも8人いることが判明しその8人がいつも仲良くしている男女であることを知ります。
他のみんなも自分と同じく白昼堂々何者かの手によって意識を奪われこの地下空間に拉致されたことを知ります。
この状況に混乱する一同ですが自分達を拉致した犯人と思われる人物からアナウンスがあり主人公を含めた9人は「バタフライゲーム」という人狼ゲームをモチーフとした殺人ゲームに巻き込まれてしまいます。
閉鎖空間で9人の命は常に犯人の掌の上、バタフライゲームの進行を邪魔する、ルールを破る行動を取るとそのプレイヤーは敗北することを伝えられます。
敗北=死、全員の胸には即効性の毒薬カプセルが埋め込まれていてルールに違反したもの、ゲームで敗北したものはこのカプセルの毒により命を奪われます。
バタフライゲームにはそれぞれ役割が与えられゲームの参加者を殺す役割をもつ「首謀者」人狼ゲームでいう人狼側とそれ以外の参加者によって騙し合いを繰り広げることになります。
役割はさまざまで人狼ゲームと同じくそれぞれ勝利条件が異なっていたりできることが設定されていたりと少し複雑です。
が、いつでも確認できるので1回ちゃんと読めば大丈夫でしょう。
共有者
自室のパソコンで共有者同士のメッセージのやり取りが可能で2人の共有者同士だけは信じ合うことが可能。
(主人公はこの役割)
診断者
ゲーム中1回だけ、生存しているプレイヤーのうち1人の役割が何であるかを調べることができる
人狼ゲームとは違い毎日ではなくゲーム中に1回なので診断前に殺されたりしたら圧倒的に首謀者が有利。
守護者
夜時間に指定したプレイヤー1名を首謀者から守ることが可能で自分を守ることもできる
交換者
自分が首謀者のターゲットになった場合に他のプレイヤー身代わりにして生存できる。
その日の首謀者のターゲットを自分に指定させる。
(交換者は守護者に自分を守ってもらうよう話していれば首謀者の詰みです)
造反者
ゲーム中5つまで首謀者は造反者へ命令することができる。
(基本ルールを破綻させる命令は不可能)
その命令に逆らうことはできず首謀者の奴隷のような役割
隠遁者
毒と薬の入った注射器を1本ずつ使用可能、ゲーム中に1回だけ、夜時間に首謀者の扉の代わりに自室の扉が解錠されることができる。
生存者が4人になった時点で、毒を使ってプレイヤーを殺害もしくは薬を使ってプレイヤー(自分を含む)を治療していればゲームに勝利。
首謀者
夜時間に他プレイヤーを1人殺害できる殺害の際にターゲットはガスによる無力化が施されるので一方的に殺しが可能。
人狼ゲームでいう人狼で基本的には首謀者とそれ以外の参加者での殺し合いとなる。
具体的な役割とその能力についてはこんな感じ。
役割は8人分しかありませんがそのことを深掘りするとネタバレになるのであえて伏せておきます。
主人公には共有者の役割が与えられもう1人の共有者と自室のPCでメッセージのやり取りが可能です。
なので主人公目線だと自分ともう1人の共有者を除く7人の中から首謀者を見つけ出しこのデスゲームを終わらせることが目標となります。
参加者は仲良し9人組
あらすじは前述した通りで物語の大筋は割とテンプレのデスゲームです。
10人前後の他人が1つの部屋に集められて混乱している間に謎の人物が登場!
「君たちには殺し合いをしてもらう!」
デスゲーム系の1話ってだいたいこんな感じですよね。
ですが他のデスゲーム系の映画やゲームと大きく異なる点は参加者が仲良し9人組であること。
人数が多いので公式サイトの画像を使って解説。
主人公に立ち絵はありません!
主人公の大介以外の参加者はこの8人です。
この8人とのバタフライゲームでは元々仲良しだったみんなとの友情が崩壊したり逆に吊橋効果的な要因でめっちゃ仲良くなったりととにかく心休まる瞬間がありません。
元から見知った仲ということでゲームの最中では参加者の行動、言動の他に性格も加味して役割を推測します。
これ以上は何を書いてもネタバレになるので鈍色のバタフライの大まかな内容はこの辺で終わりにします。
デスゲームものとしてはコンパクトでありながらも面白い
ザックリと解説させていただきましたが結論を言わせてもらうとかなり面白いです。
常に死と隣り合わせの状況で自分が生き残ることと首謀者を特定するために誰を信じ誰を疑うか、そのための推測や仮説を立てながら進んでいくテキストにはレイジングループやダンガンロンパのような緊張感があります。
それに加えて明らかに首謀者もしくは首謀者側と思われる人物が実は主人公側だったりと先の読めない展開が面白いです。
基本的な部分はデスゲームものの定番テンプレですが、だからこそ面白いのだと感じました。
めちゃくちゃ尖った要素があるかと言われれば答えはNOですがそれゆえにこう言ったジャンルならではの王道の面白さ(ミスリードなど)が凝縮されているので「デスゲームものはこういうのでいいんだよ」の一言に尽きます。
ラストではこの極めて理不尽なバタフライゲームの真相が明らかになり(少し主人公側にとって都合が良すぎると思ってしまう場面もありますが)綺麗にまとまっているところも評価に値します。
スマホで手軽にプレイできて税込611円、絵柄に抵抗がなければかなりおすすめできます。