物語というのは強大な悪や敵を倒して綺麗に終わるのが最も理想的。
という意見を持つ人も多いと思います。
それはごもっともな意見ではありますがぼくは最終的に敵を倒せない、もしくは世界を救うことができずに終わるけど面白い作品も存在すると思います。
ということで今回は世界を救うことができずに終わる神ゲーを3つ紹介していきます。
いわゆる”王道からかけ離れたラスト”ではありますがそれゆえに唯一無二の魅力を感じられるゲームでもあるので是非ともご覧になっていってくださいな。
それと先に言っておくとこれら全部PS31台でプレイできます!
それと当然ではありますが最後のオチを解説するので必然的に盛大なネタバレを踏むことになります。
あらかじめご了承ください。
リンダキューブ
はるか昔にPCエンジンにて発売された狂気とトラウマの宝庫「リンダキューブ」。
後にリメイク版の「リンダキューブアゲイン」が初代PSにて発売、その後セガサターンで「リンダキューブ完全版」が発売されています。
トラウマゲーム、狂ったゲームとして有名な本作、ジャンル的にはRPGですがシナリオやゲームの目的はドラゴンクエストのような王道RPGとは大きく異なる作りとなっています。
シナリオはA、B、Cの3つのシナリオがありパラレル的な扱いとなっておりそれぞれ違うストーリー展開を楽しめます。
シナリオAでは主人公ケンのサイコすぎる弟であるネクやあまりにも狂ったラスボスの行動に全プレイヤーがドン引きしました。
シナリオBではヒロインのリンダが謎の生物に襲われ四肢欠損、お父さんの腕を移植して左腕だけムキムキ系ヒロインになるといったトンデモ展開を見せてくれます。
もうジャイアンにしか見えないんですが・・・
シナリオAとBはこれらのとんでもねえ内容で伝説となりました。
主人公のケン(左)とメインヒロインのリンダ(右)
そんなリンダキューブですが全てのシナリオでオープニングとエンディングの内容、作中でのケンとリンダの目的は同じです。
まずこのゲームの目的ですがリンダキューブの舞台である惑星「ネオケニア」は8年後に隕石が衝突することが確実視されます。
そこで現れたのが「神が天より遣わせた箱船」
と、神からのメッセージが記された石板
その石板には「箱船の乗員求む!動物集めに自信のあるものに限る!」と記されていました。
要約すると”この箱船に雄雌1つがいの動物を可能な限り乗せて旅立つ、それが生物の未来を救う方法”ということです。
なので全人類が8年後の隕石衝突に備えて惑星脱出の準備を進める中「人類の雌雄1つがい」としてケンとリンダは箱船に乗ることになります。
そこで箱舟発進までの数年間の間に動物を集めることが全シナリオ共通の目的です。
その途中で主人公カップルが巻き込まれる事件が各シナリオごとに異なるという感じですね。
でもって話をエンディングまで飛ばしましょう。
そんなこんなで動物を集めたケンとリンダはたくさんの動物と共にネオケニアから箱舟を発進させます。
そのエンディングムービーではネオケニアが
目次
爆発します
こうして生物が生存できなくなったネオケニアを後にしたケンとリンダのその後が少しだけ描かれます。
これがリンダキューブのエンディングです。
今回のテーマは世界を救うことができなかったゲーム。
リンダキューブの場合は目的が最初から「衝突する隕石を止めること」ではなく「隕石が衝突するから他の惑星に移住する準備をする」なのでFF7のように星、基世界を救うことはできませんでしたが目的は達成できているのでバッドエンドというわけではないです。
シナリオはアニメで描かれゲーム性は自由度の高いRPG、ぼくがかなり影響を受けた神ゲーです。
もうTwitterのヘッダーは何年も「102号室へようこそ」にしています。
ニーアレプリカント
PS3にて発売されたアクションRPG「ニーアレプリカント」
後に発売された「ニーアオートマタ」の世界的な大ヒットにより今では完全版も発売されています。
ニーアレプリカントの世界ではマモノという化け物が蔓延っていて主人公の少年ニーアは病弱な妹ヨナと暮らしています。
物語の中盤あたりでマモノの王である魔王にヨナは攫われてしまいヨナを助けるべく魔王に挑むニーアの物語。
それがニーアレプリカントなのです。
ここだけ聞くとドラクエのように魔王を倒す主人公、ピーチ姫を取り戻すマリオのようにありがちな内容に聞こえますがこのゲームは複雑な設定と作中で明かされない出来事が数多くあります。
なのでなぜ魔王を倒すことが世界を救えないことに繋がってしまうのかを解説しましょう。
とはいえ膨大な量の設定と出来事がありぼく自信それらを完璧に把握しているわけではないのと全てを書くと6000文字くらい要するので最低限の解説です。
まず初めにニーアレプリカントと関連作品の時系列について。
本作は鬱ゲーとして有名なドラッグオンドラグーン(以下DOD)の新宿エンドから長い年月が経過した地球が舞台でDODとはゆる~くつながってます。
時系列はこんな感じ。
DOD1新宿エンド→ニーアレプリカント(本作)→ニーアオートマタ
これが全体像です。
なのでまずはDOD1の新宿エンドのお話から始めます。
DODはファンタジーな世界観で主人公がドラゴンと共に戦うゲームで新宿エンドでは世界を救うために敵での「母体」に挑むのですがいきなり母体と共に新宿へワープします。
こうして始まる高難易度の音ゲー「なんなのだこれは、どうすればいいのだ?」
鬱エンドとして有名なあの新宿エンドです。
この新宿エンドではドラゴンが航空自衛隊スカーフェイス(ACの主人公と同じ名前)によって打ち落とされスタッフロール。
DODのキャッチコピーである「抗え、最後まで」に従い最後まで抗った結果がこれというぼくのようなドMしか喜ばない最悪な結末。
ですがこの新宿エンドには続きがありそれを描いたものがニーアシリーズなのです。
このDODという異世界からやってきたドラゴンが原因で新宿を中心に致死率100%の死に至る病「白塩化症候群」が発生します。
その後もレギオンという謎の化け物や拡大する白塩化症候群により人類は滅亡必至の状況となります。
そこで人類が生存するために実行した計画が「ゲシュタルト計画」。
それは人間の体と魂を分離させ白塩化症候群が治まるまで魂だけの存在ゲシュタルト体となり
白塩化症候群が収束した段階で再びレプリカント体という人工的に作られた体に魂を入れるという計画です。
少しややこしい話になってきたので補足すると人間の本体である魂がゲシュタルト体でほとぼりが覚めた時に魂を入れる作り物の体がレプリカント体です。
このレプリカント体は人工的な体ですが人間とほとんど変わらないと思っていただいて結構です。
魂というとファンタジーな話ですが例えると「病気で全く動かなくなった体から頭部だけを健康な体に移植する。」
みたいなイメージです。
ですがこのゲシュタルト計画には大きな問題が2つ発生します。
その1つがレプリカント体が自我を持ったこと。
これにより魂の入れ物だったレプリカント体は「自分は普通の人間」だと認識します。
もう1つの問題がゲシュタルト体の暴走。
白塩化症候群が収束するまでの間ゲシュタルト体は魂だけの存在として生き続ける予定でしたがこちらはレプリカント体とは対照的で次第に自我を失い暴走し死亡します。
ですがこの問題は「ゲシュタルト体でありながらも自我を保ち暴走も死亡もしない個体」が現れることで解決の糸口を見出すことができます。
ここまでが重要な設定。
それでは話をニーアレプリカント本編に戻しましょう。
作中では主人公のニーアを操作しマモノを倒していくのですがここでゲシュタルト体とレプリカント体のことを思い出してください。
敵であるマモノは凶暴で人間を襲う化け物、これはゲシュタルト体の成れの果てです。
そして自我を持っている人間、本編でも何人か登場しますがこれらがレプリカント体です。
プレイヤーが操作する主人公のニーアも同じくレプリカント体です。
それらを踏まえた上で本編の内容を振り返ると魂の器であるレプリカント体のニーアは自我を持つことで人間の魂、ゲシュタルト体であるマモノとその王を滅ぼすことになります。
そしてマモノの王、魔王はニーアのゲシュタルト体であり前述したゲシュタルト体として安定した稀な個体。
激闘の末ニーア御一行は魔王を撃破。
こうしてニーアのゲシュタルト体である魔王が消えたことでゲシュタルト体となった元人間は全員凶暴化しマモノとなり死亡することが確定。
作り物であるレプリカント側は生殖能力を持たないため寿命が尽きて滅亡。
これが世界を救うことができなかったニーアの物語です。
キャッチコピーは「一人のために、全てを滅ぼす」
主人公であるレプリカント体のニーアは そんなこと知らずに完全に壮大な物語のごく一部ですから普通にゲームをプレイしても明かされないことが多いです。
本当はもっといろんなことが起きてるし前後の話もいろいろあるんですが尺が足りなすぎるのでここまでです。
ただ考察厨にとってはたまらんシリーズなのでそういう人にはおすすめです。
やはり物語というものは謎がある方が魅力的なのだよ
マブラヴ
最後に紹介するのはマブラヴです。
はるか昔2003年にâge(アージュ)より発売されたアダルトゲームで進撃の巨人の作者がこのゲームのシナリオに大きな影響を受けていると公言したことから騒がれたりもしました。
その人気からトータルイクリプスやシュヴァルツェスケーマンンといった数多くのスピンオフも製作されましたがそれらの元、本編はこちらの
マブラヴと
マブラヴオルタネイティヴです。
マブラヴ本編はこの2本で1つの壮大な物語となっていてもっと細かく紐解くと
マブラヴ「マブラヴEXTRA編マブラヴUNLIMITED編」マブラヴオルタネイティブ
こんな感じの3部作となっていて平和な世界で恋愛をするだけのEXTRA編、主人公が突如異世界に転移して人類の敵と戦うべく軍人となるUNLIMITED編、最終章のマブラヴオルタネイティブの3つに分かれています。
マブラヴオルタネイティヴクリアまでの時間は最低限のルート攻略だけでも75時間かかりました。
ADVゲーム2本分とはいえ長い長いシナリオです。
ニーアレプリカントの話で脳が疲弊していると思うのでこの神ゲーのレビューは別の機会にして今回は噛み砕いた解説に入りましょう。
まず初めにプレイするのマブラヴEXTRA偏。
主人公白銀 武(しろがね たける)の視点で学生生活を送るアドベンチャーゲームとなっています。攻略対象は5人(PC版では先生を含む6人だそう)で内容としては
普通のエ○ゲーです
重要なところは主人公の武はロボットゲームが得意なことや何気ない日常のシーンに伏線が張られているところです。
EXTRA編ではヒロインによってエンディングが変化、まあこのへんも普通のエ○ゲーですね。
そんでもってEXTRA編の後に解放されるのがマブラヴUNLIMITED編、ここからが重要です。
UNLIMITED編はEXTRA編の終盤である10月22日から始まり武が朝目覚めるとそこは、、
荒廃した世界でした
その世界では武の通う学校は国連軍横浜基地という施設となっていました。
その基地では元いた世界で武が通う学校の教師として働いていた夕呼先生と接触することになります。
夕呼先生は作中トップクラスの超頭脳派チートキャラなので武のファンタジーな話を理解します。
この世界の夕呼先生は横浜基地のトップで武は異世界転移してしまった事情を話しこの世界がなぜ荒廃しているのかを聞いたところ
人類は宇宙からの侵略者『BETA』という存在によって滅亡の危機に陥っていること、
武が元いた世界と転移したこの世界はBETAによる侵略を受けているか否かで分岐した「並列世界」であるということ、
今現在の状況は人類の60%が死んでいて10年以内に人類の滅亡は確実。
つまり、
いきなり絶望的な世界に放り込まれてしまったことを知ります。
元のEXTRA世界に帰る手段も無ければなぜ自分が転移したか原因もわからない。
そんな状況で武は元の世界へ帰る手段を探すために基地のトップである夕呼先生のもと「戦術機」というロボットに乗ってBETAと戦う衛士を目指し訓練兵となります。
↑戦術機↑
最初はヘタレだった武ですが訓練と元の世界に帰りたい一心で屈強な男になります。
そして季節も変わり12月、武達訓練生は
地球を放棄することを知らされます
あまりにも急すぎる知らせ。
人類はBETAとの戦いで勝利することを諦め存在するかどうかもわからない移住可能な星を探し旅立つことになります。
この計画で地球を離れる人類は十数万人、その十数万人のために残りの人類は地球でBETAと戦うことになります。
武はその中の一人として2年間BETAと戦いますが結局元の世界に帰る手がかりすらつかめず戦死します。
こうしてマブラヴUNLIMITED編は世界滅亡エンドを迎えます。
謎が明かされることは無く人類の敵であるBETAと戦うシーンもなくあっけないバッドエンドです。
こうして主人公の武は世界を救えず最期を迎えたわけですがまだ最終章のマブラヴオルタネイティヴがあります。
武は2年間の戦いの末戦死したと思われたのですが・・・
気が付くと初めてこの世界に転移した日、
10月22日に戻っていました。
しかしUNLIMITED編で得た経験や記憶はそのままで強くてニューゲーム状態で2周目を開始するのです。
2周目の武は1週目の記憶を引き継いでいるのでこれから何が起こり人類がどんな結末を迎えるのかを知っています。
なので1週目で迎えてしまった人類滅亡という最悪な結末を避けるために再度夕呼先生のもとへ向かい自分がこの世界に転移しループしていること、これから何が起こるかを説明し協力関係を結びます。
2周目の武とチートキャラである夕呼先生の最強タッグによりBETAを倒すための兵器をいくつか生み出すことに成功します。
絶望的な状況だったにも関わらず希望が見えてきたかのように思えましたが、
BETAの襲撃により希望は潰えます
基地で演習していたところに突如現れるBETA。
その光景はまさに地獄絵図、衛士が初めて戦場に降り立ち生きていられる平均の時間はたった8分、それを理解するには十分な戦力差でした。
興奮剤を注入された武は混乱しながらもペイント弾でBETAの足止めをこなし時間を稼ぎます。
そのおかげでどうにかBETAを撃退できましたがここで武にとって大切な人が命を落とします。
BETAと初めて接触した結果、武は力の差に挫折してしまいます。
それから人類存亡をかけた桜花作戦までに武が立ち直ったり異世界転移の原因を突き止めたりとかなり多くの伏線回収イベントがあるのですがそのあたりは読み進める手が止まらなくなるほどに面白いので是非ともプレイしてみてください。
こうして迎える最終決戦、武は多くの犠牲と共に作戦を成功させます。
そのおかげで10年以内に滅亡確定だった人類は30年は生き残れるであろう状況になりました。
人類のためにかなり大きく貢献しましたが世界を救ってはいないのです。
ですがこの段階で武にできることは全てやりきっていて自分が異世界転移した原因も解消していたので元いた世界、EXTRA世界線へ戻りハッピーエンドを迎えます。
結局のところBETAが圧倒的過ぎて決着をつけることなく本編は終わってしまいますが人間一人の力でできることには限界があるということは作中で何度も思い知らされますしそのことを考えれば納得の終わり方なのかもしれません。
令和となった今ではそれほど珍しくない「ループ」「異世界転移」「並列世界」「未知の生物との戦い」といった要素ですがこれらを2006年の作品でありながらうまいこと1つの物語にしているという奇跡の作品です。
今ではSteamやPS3に移植されているのでプレイするためのハードルは高くないはずです。
そいうことですぐやりましょう!
では世界を救うことができなかった名作ゲームのご紹介はここまでです。
本当はmoonも入れたかったのですが見ての通りクッソ長くなってしまったので中止です。
今回はぼくがクリアしたゲームの中で世界を救うことができずに終わるゲームって何かあったかな〜と温泉でだらだら考えていたのですがよ〜く思い返してみるとこの神ゲー3つがありました。
まとめるとこんな感じ
リンダキューブ
とことん王道からかけ離れたRPGだがサイコホラーなシナリオと自由度の高いゲーム性が面白い。
衝撃シーンが多すぎて強烈に印象に残る伝説のゲーム
ニーアレプリカント
練り込まれた設定とそれを小出しにしながら見せていくところに考察の余地がある。
キャッチコピー「一人のために、全てを滅ぼす」の本当の意味を知った時に 戦慄するでしょう。
マブラヴ
王道学園恋愛アドベンチャーからは想像もつかない展開となり絶望感と感動のラストに人生を左右される。
3つとも王道からかけ離れた内容で設定が練り込まれている伝説のゲームなのでめっちゃおすすめです。
世界を救えずに終わるゲームも悪くないです。