今回はエ○ゲレビューです。
そのタイトルは
カーニバル
目次
基本情報
18年間のアダルトゲームなのでまずは基本的な情報から説明していきましょうか。
本作CARNIVAL/カーニバルは「S.M.L」より2004年に発売されたアドベンチャーゲームでサイコ陵辱ノベルという結構なことが書かれていたりします。
今現在はパッケージ版が安くても¥20000を越えているプレミアアダルトゲームで対応機種にWindows10が記載されていなかったりと
令和のこのご時世にプレイしようと思うと少しハードルが高いように思える作品。
というわけでもなくちゃんとDL版が配信されていてこちらは三千円でお釣りがくるお値段です。
ですがこちらも「Windows10では動作しません」などと記載されていたりパケ版DL版ともに結局のところプレイするに当たってハードルが高い作品なのかもしれません。
私は高いお金を払ってパッケージ版を買いました。
見事Windows10で起動してくれて一安心です。
楽天カードから上限額増額のご案内とリボ払いをおすすめされたけどそんなことは気にしない
たぶんDL版もちゃんとした手順を踏めばプレイできるはずですがその際は自己責任で。
殺人の容疑者となった主人公の逃亡劇
主人公、木村学(きむらまなぶ)は典型的ないじめられっ子で三沢先輩というモテる先輩にいじめられていてそれが原因で三沢を殺してしまいます。
その殺人事件の容疑者としてパトカーにて連行されるのですが連行中のパトカーは事故を起こしてしまいます。
こうして偶然訪れた逃亡のチャンスを掴み学は逃亡します。
ですがあてもなく逃げたので相変わらず殺人の容疑者でこのまま警察から逃げる策もなければ逃亡してまで成し遂げたかった目的なんかもありません。
そうしてフラフラしていると幼馴染の理沙から借りっぱなしになっていたハンカチを持っていることに気づきそれを返しに行くことになります。
作中で起こった出来事を時系列順に並べるとこんな感じの始まり方です。
この段階でお察しの方も何人かいるとは思いますが主人公である学は明確な目的を持って行動するわけでもなく
世界中で絶賛されているループだとかバトルといったすごいことが起きるシナリオではありません。
作中で描かれることは殺人の容疑者となった学視点で描かれる逃亡劇それだけです。
なので王道からかけ離れた内容でかなり人を選ぶ作品です。
まあプレミアアダルトゲームなのでこれも予想できた人はいるんじゃないでしょうか?
そして最大の特徴は主人公、学が狂っていること。
ハンカチを返そうと思い奇跡的に理沙と再会する学ですがここでハンカチを返してしまうと
目的達成!その後自首して学は罪を償いました!カーニバルEND!
というゲームとしてはこれ何が面白いん?というゲームになってしまうので学はハンカチを返しません。
ですが理沙と再会してからは学の狂人っぷりが遺憾なく発揮されます。
その内容はR18ゲームなので脅迫、監禁、強○etc、etc
とにかくなんでもありです。
カーニバルの凄いところは主人公の行動だけを客観的に見ればただの犯罪者なのですがその犯罪行為に至るまでの思考回路が丁寧に文章として描写されてプレイヤーを納得させてくれるところです。
学は昔から嫌なことがあるとその前後の記憶を失くしてしまう癖があるんですがその癖のおかげで殺人事件を起こした時の記憶だけ綺麗に忘れています。
なので理沙の家にいる間色々考えた結果
「もしかしたら三沢を殺したのは自分じゃなくて三沢とよく一緒にいた志村詠美(しむらえいみ)なのでは?」
という疑問を抱きます。
この
ぼくは連行されている殺人者だ→いいや志村詠美が怪しい
という急な心変わりにしか思えない考えも学の心情描写のおかげでそれほど違和感を感じませんでした。
それと考え方がかなりリアルですね。
このあと志村詠美を脅しに理沙の家を出る学ですが脅す時にどんな言葉どんな方法、何を使って、どうすれば相手は恐怖するかを考えるのですがその時の映像がこちらです。
エンターは一回しか押していません
これむちゃくちゃリアルだと思いました。
もし自分が変なおじさんにいきなり絡まれたら無視するか通報するかで大体解決しますよね?
ですが学が相手だとそうはいきません。
普通の人間なら自分が長期間牢屋にぶち込まれる事と犯罪行為の結果得られるものを天秤にかけた結果釣り合わないと考えて犯罪行為は未遂に終わります。
ですがこの学という男はそういった損得勘定では動いていないということをうまく描いていると思います。
それと同時にそういう狂った人間の怖さも感じ取れました。
ゲーム内のテキストは学の心情描写が非常に多く体感で7〜8割くらいに感じます。
つまりカーニバルというゲームはほとんどが学の独り言で構成されているのです。
こんな感じに丁寧な心情描写と共に記憶が抜け落ちた殺人事件の真相、警察から追われる身となった学の行動をしっかり描き
以外なラストを迎えるのですが終始学が何をしでかすか全く予想できないやべえやつなのでそこはハラハラしながら楽しめました。
悪とは何かについて考えさせられる内容
本編の内容はごく一部ではありますがそんな雰囲気の変わったアドベンチャーゲームです。
そんなカーニバルですが「悪とは何か?」がテーマになっていると思いました。
みなさん絶対に一度は考えたことがあるはずです
悪とは何か?
について。
わかりやすい悪の基準は法に触れていることだと思います。
前述した通り殺人犯である学は多くの人の目に悪に見えるでしょう。
ですが法に触れていなければ悪ではないかと言うとどうでしょう?
令和のご時世SNSやテレビで「転売ヤーは悪」「誹謗中傷は悪」「アニメのネタバレしやがってあいつは悪人だ!」
「彼女がいるのに他の女とHした!」「こんな時間まで残業なんて」etc、、etc
いろんな悪が溢れています。
ですがこんなふうに犯罪行為じゃないのに悪とされている行為も多数あります。
こうしてみると悪の定義はなんなの?って思えてきますね。
それらを踏まえた上で本編の悪について考えさせられるシーンの印象深かったものをピックアップ。
キリスト教では人を殺したいと思うことが罪
はい私は大罪人です。
私は宗教の話はしない方がいいと思ってるので調べもしないしこうして多数の人に発信することもないです。
なのでキリスト教とは何かを知りませんでしたがまさかそういう宗教と知った時には驚きましたね。
あまり宗教の話はしたくないのでこの辺にしましょう。
2つ目は泉ルートの結末ですね。
ネタバレを含むのですが本作はタイトル画面の5人の女性の内ちゃんとしたルートが用意されているのは理沙(トゥルー的な扱い)と泉の二人くらいです。
その泉ルートでは殺人の容疑者である学と泉が逃避行するんですよね。
その内容は簡単に言うと二人とも何も考えてないしロクな大人になれないけどそれでも自由に生きて楽しいです!
みたいな内容です。
ここで気になるのが学は容疑者として逃亡生活を続け罪を償うこともなく泉と幸せそうに暮らすこと。
先ほどのキリスト教のシーンでは「人を殺したいと思うことが罪」だったのに対しこのルートでは「人を殺したけど罪を償うこともなく幸せになる」
という終わり方なんですよね。
どちらが正しい、どちらが良いかは置いといて罪とか悪の境界線ってますますわからんなと思いました。
この泉ルートはトゥルー的な扱いではありませんが悪の他に幸福についても考えさせられる内容でした。
3つ目は終盤とある人物のセリフで
「何もしてないのにただ居ただけで逆恨みされたんだろ?
そんなんで責任を取らなきゃならないなんてそんな理屈は無い
いること自体が悪い奴なんかいるか」
というお言葉がありますがこれは本当に共感しかないです。
見たくないものなんて見なけりゃそれで解決です。
だから私はこれからも変な記事いっぱい書くし
このカーニバルのレビューで正反対の意見を書いている人がいてもそれを否定はしません。
みんな周りを傷つけない程度に好きにやりましょうや。
これら以外にも最近は犯罪を犯して捕まっても罪を償う、つまりはコストを支払えばそれで終わり。
人に迷惑をかけなければ犯罪行為をしても良い
みたいな意見も多数聞いたことがあります。
こんな感じにそれぞれ登場人物ごとに悪についての考え方や定義はそれぞれだったりするのですが
これ以上この話を続けるとキリがないのと攻撃的な意見をいただきそうなので最後は私の実話。
こんな会話をしたことがあります。
この場合は家族を殺されたという人を殺すに足る理由があるし殺された人間は動かないのだから殺人者を殺しに行くことはできません。
なのでモルペコが復讐をする気持ちはわかるしモルペコの家族を殺した殺人鬼が殺されるのもまあしょうがないとは思います。
だけど法律的にはどんな理由があろうとも人を殺せば罪に問われるし今度はモルペコが悪人扱いされてもおかしくありません。
かといってモルペコが逮捕された後にしっかり罪を償って出所した場合は誰がなんと言おうと犯罪者ではなく一般市民になりますから
そこまで考えると本当に難しい話ですよね?
結局のところ何が言いたいかと言うとこんな感じの会話が随所に散りばめられていると言うことです。
エ○ゲとしては微妙?
そういえばアダルトゲームなのでそこら辺も触れていきましょうか。
まず絵ですが18年前のゲームなので少し古臭さを感じる人も多いと思います。
まあ見ての通りです。
ですがこの絵柄微妙に古臭いながらもタイトル画面の女の子の表情とか結構好きなんですよね。
それとアドベンチャーゲームとしてですがこれはほとんど一本道みたいなシナリオ構成です。
先ほど話した泉ルートと理沙ルートの2種類の他にはおまけ程度のバッドエンドが複数あるくらいでそれらはサイコ陵辱という名前の通りサイコパスな主人公が女の子を陵辱して逮捕されると言う内容。
タイトル画面の5人のうち3人は個別ルートが用意されていないのと警察官に至っては居なくても話が成立するので悪い意味で大人の事情を感じさせてくれます。
総評
総評すると人を選ぶ考察?哲学ゲーといったところですね。
プレイ前は瀬戸口廉也さんがシナリオに関わってる狂気のプレミア鬱ゲーという情報だけ頭に入れてプレイしてみましたが大体その通り。
ここまで書いた通り瀬戸口廉也さんが書く心情描写はわかりやすいし学の奇行に説得力を持たせてくれます。
それに加えて犯罪的な狂った内容でいじめ脅迫監禁などなんでもありです。
ですが学のメンタルが中途半端に強いのとBGMが明るいお陰で鬱ゲーといった印象は残りませんでしたね。
学の境遇は相当なものですが前半部分で学は狂人というイメージが定着したせいで
「学、、こんな目にあって可哀想に、、」とは思いませんでした。
意外だったのは哲学的なテーマが多いことですね。
悪とは何か?幸福ってなんだろう?そういった人間がめんどくせえ生き物である所以についてクリア後にめちゃくちゃ考えさせられました。
これが本作の大事な部分なので私みたいに自分は正しいなんて微塵にも思っていない人間は作中でのいろんな考えを理解できたつもりですが
「犯罪者は例外なく悪人だ!」「嘘は絶対にダメ!」みたいなものすごくきっちり悪の定義を定めていて考えを曲げない人には合わないだろうと思いました。
それと幸福についても悪と同じくらい話題に挙がることが多いです。
私にとっては幸福よりも悪の方について考えさせられたので悪に焦点を当てた内容にさせていただきましたが
幸福もテーマの一つです。
これもすごく難しい内容だと思うんですよね。
作中で学は幸福のことをガラクタと言っていますし学以外の人物はまた違った意見が多数です。
これさえあれば僕は幸せ 金が全て 金があっても健康な身体がなければ不幸
こんな感じに幸福とは十人十色だと思います。
まあ前述した悪と同じような話になるのでこのくらいにしときましょうか。
最後にもう一つ。
作中で起きることはどこまでも現実でリアルで面白いことは起きず学の独り言が多いです。
なのでプレイする人間によって感じることや解釈は大きく異なる作品だと思います。
今回こうして記事にしてみましたが
「この作品から感じ取れるものは多かったがそれを第三者にわかりやすく文章にするのが難しい」
っていう状態になったのもそれが原因かな?
狂った主人公視点で現実的な内容の考察哲学ゲーという点はさよならを教えてに近いものを感じました。
このゲームの内容は小難しいです。
哲学好きにおすすめという珍しいゲームなので頭の柔らかい人は購入を検討してみてはいかがかな?
ではこれにて終わりです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。