おしりです。
ケムコノベルシリーズの1つであるアドベンチャーゲーム「デスマッチラブコメ!」をクリアしたので今回はその紹介とレビューになります!
本作はADVにありがちな「ネタバレ見ると極端に楽しみが無くなる」系のゲームなので今回はある程度ネタバレに配慮しようと思います。
具体的には公式がガイドラインで注意喚起している4/27以降の内容には触れないということで。
目次
概要
本題へ入る前に少し長めの概要を。
デスマッチラブコメには旧デスマッチラブコメとリメイク版の新デスマッチラブコメの2種類が存在します。
旧デスマッチラブコメこと正式名称「D.M.L.C. -デスマッチラブコメ-」はスマホアプリとして販売されています。
Andoroid/iPhoneに対応しており今現在(2022年2月)のお値段は610円。
リリース後はしばらくしてWiiUに移植されていますがWii U/3DSストアがサ終決定しちゃったので今となってはどうでもいいですね。
そして旧デスマッチラブコメの発売から6年後、関連作品「レイジングループ」の売り上げや作品の評価の高さからかPS4/Switch/Steam(Mac非対応)でリメイク版が発売、正式名称は「デスマッチラブコメ!」
PS4版のみパッケージで発売されていて封入特典のカードはレイジングループ好きには嬉しいツーショットです。
Switch版はタッチ機能に対応しているのでSwitchがおすすめ。
リメイクにあたってイラストのリデザイン・追加が施されています。
特にキャラデザは別物と言っても過言ではないほどに綺麗になっていて
これがリメイク前
これがリメイク版
見れば一目瞭然ですがこれ同じ絵師さんらしいです。
シナリオ担当はレイジングループを代表作に持つamphibian(あんひびあん)様。
発売元ケムコ、シナリオamphibian、世界観をレイジングループと共有していることから”レイジングループの兄弟作品”とも捉えられます。
とはいえレイジングループ未プレイでもなんら問題ない内容なのでご安心を。
レジングループについて気になる方はこちらから。
あらすじ
ではあらすじを紹介しましょう。
ゲームが始まると
主人公が爆発します
わけわからなすぎるでしょ?
ということでこうなった経緯を詳しく見ていくとこんな感じです。
主人公八木 景(やぎ けい)は普通の高校生、物語の始まりは高校生活が始まったばかりの4月の出来事。
本作は恋愛ゲームにありがちな「女の子の主人公に対する好感度が最初からMAX状態」なので学校のマドンナ津野るみ子と幼馴染の白詰乙羽の二人から同時に告白されます。
こうして主人公は爆死しました。
というのは幻で実際に爆発はしていなかったのですがあまりにもリアルな感覚に戸惑う主人公と爆発した光景を実際に見たという同級生たち。
直後現れるピンクの猫のような謎の生物、こいつは「次は本当に爆死する」と景に言い放ち消えます。
後日爆死の件についてその場にいた全員にピンクの生き物のことを確認しますが主人公と乙羽以外には見えていないことが発覚。
それからみんなで色々考えたところ景は「告白されたら爆死する呪い」をかけられてしまったと推測します。
その後も景の左手には「告白警告灯」という告白による爆死の危険性を4段階で表す警告灯がついてしまいます。
この警告灯は女の子から景への好意を表していて告白で4つ目のハートが点灯し爆死するのですが3つ目のハートが点灯した段階で危険信号で不整脈、出血を引き起こすなど強い苦痛を味わうことになります。
「告白されると爆死」という一見ふざけたように思える呪いですが常日頃命の危険にさらされる恐ろしい呪いなので同級生の協力を仰いで呪いを解く方法を探すことになります。
こうして景の呪いを解くための非日常が始まるのです。
段々と緊張感が増していく展開
そんなわけで告白と爆死の現場に居合わせたみんなと一緒に景の呪いを解く方法を探すこととなった景。
それでは主人公御一行を紹介しましょう!
九段志乃歌、明るい性格で主要人物、モブキャラ、誰とでも仲良くなれるたぶん高校で1番モテるタイプ。
変人が多い本作の中で1番まともな性格にみえますが実はややこしい悩みを抱えていて主人公の解呪に不自然なほど協力的な姿勢を見せるのもそれが関係していたりします。
東護美弥はおとなしめの女の子で主人公の呪いに関する噂を探ってくれる巨乳JK。
実はレイジングループのあの女の子。
お次は主人公の親友ポジションの平子場亜須賀。
イケメンで成績優秀ですがおバカ発言が多いせいで「残念なイケメン」のイメージが強い。
最後は有栖隆斗。
主人公に協力的ではあるものの圧倒的に真面目な性格で頭の硬いやつ、まあ見た目通りです。
主な人物は主人公と主人公のことが好きなるみ子、乙羽以外だとこんな感じ。
このメンバーで呪いの解呪方法を探すことになるのですがタイトルにも記されている通りるみ子、乙羽を中心としたラブコメ展開とオカルトな話が半々くらいで話が進んでいきます。
ラブコメ部分は下ネタが多いのでここは好みが分かれるでしょう。
ぼくは下ネタ好きなので楽しめました。
序盤はそんな感じの流れですが徐々に主人公の呪いとは別で超常現象が頻繁に描写されます。
その一部ですがこんな感じ。
ヒロインの一人である乙羽は体調を崩した景のお見舞いに来るのですがツンデレ暴力系ヒロインなので景の自宅で5キロの漬物石を投げる、白桃をあ〜んした時の勢いで景を殺す、暴れた結果部屋を半壊させる等、人間とは思えない暴れっぷりの「乙羽襲来」事件が起きます。
バスルームに隠れ生き残った景ですが扉を開けると何事もなかったかのように元通りになっている部屋、謎だらけです。
ですが後日家に戻ると乙羽が暴れた形跡が残っていました。
一時的に部屋が何もなかった状態に戻るという謎の現象。
他にも「三人縛りの天使様」という呪い、志乃歌との電話で事件が収束する期間、犯人に関する予言など不可解な事件が続々起きて謎は深まるばかりです。
果ては何もないはずのトイレからの火災、乙羽と共に迷い込む異世界のような教室、そこで遭遇する怪異など、ただでさえ呪いのせいで死と隣り合わせの主人公が更に危険に巻き込まれていきます。
大きなネタバレになるのでこれ以上は物語の内容には触れませんが簡潔に言うと「ラブコメにオカルト、ミステリー、ホラーを付け足した内容」です。
快適なUIととろりんの巣
ゲーム性は至ってシンプルなアドベンチャーゲームでただ文章を読み進めるだけです。
時折出現する選択肢で間違った選択肢を選んでしまうとゲームオーバーになるんですがそのほとんどは爆死というところが特徴的ですね。
一応バッドエンドという扱いにはなるのですがそこはラブコメらしくふざけた爆死の仕方がほとんどで一番すごい時は地球が爆発します。
死亡後は「とろりんの巣」というたどり着いたエンディングについての補足、正解へのヒントを教えてくれるコーナーが任意で観れます。
ここはレイジングループと同じですね。(ただしあちらはバッドエンドも必須イベント)
爆死後はタイトル画面に戻りやり直しになるのですが既に読んだところはスキップ可能でオートセーブもしてくれてUI面はかなり快適です。
特にシナリオチャートが快適で分岐の条件もわかりやすく可視化してくれているのでゲーム全体を通してUI面でストレスを感じることは皆無です。
ノベルゲームなのでゲーム性という部分についてはこれぐらいしか書くことはありませんが他にも気になることはTIPSで確認できたりと親切な作りです。
不満点
総合的にみるとよく作り込まれたシナリオで面白いのですが不満点が多々あるのも事実。
では順番に解説していきましょう。
ノーボイス
声優さんそのものが表に出ることが多くなったこのご時世にCV無し、しかもノベルゲーなのに!
ぼくはボイス無しがどうしても許せないというわけではありませんが有るのと無いのどちらが良いですか?と聞かれれば「有る方がいいです!」と即答するくらいにはボイス有りの方が好きです。(どのゲームに関しても)
何より定価3000円でリメイク作品なのに割と重要な要素であるCVを実装しなかったのは謎です。
キャラの立ち絵が少ない
リメイクにより劇的に綺麗になった各キャラクターの立ち絵ですがタイトル画面に写っている8人と1体以外にはほとんど絵が用意されていません。
るみ子の両親やBL好きの難波さんなど個性的なキャラクターがいるにも関わらず(CV無しなので)テキストのみの登場となってしまっています。
かといって主要人物の立ち絵のパターンが多いかと言われるとそういうわけでもなく表情の変化は乏しいです。
人を選ぶ内容
ネタバレになるのであえて詳しいことは書きませんが本作は非常に好みが分かれる内容です。
前述した通りラブコメを中心にホラーや超常現象、オカルト、さらには家族愛、日本特有の伝奇な内容が付け加えられたような内容ですが終盤はそこから更にぶっとんだ内容となっているので設定盛り盛りです。
最終的に作中での出来事はあらかた解決するものの全てが解決するわけでは無いので風呂敷を広げすぎた感が滲み出ています。
レイジングループと同じく序盤〜中盤の超常現象によって段々命の危険性が迫る感じが好きだったのでラブコメ+オカルト+ホラーぐらいのボリュームがちょうど良かったのでは無いかと思います。
総評
不満点はあるもののやはり総合的にみるとよく作り込まれたシナリオで面白い作品だと思います。
今こうしてこの記事を書いてる時に改めて振り返るとやっぱり設定盛り込みすぎ感は感じてしまいますが本作の心臓部分であるラブコメパート、超常現象パートにはamphibian様の実力が出ていると思います。
簡単に解説した「乙羽襲来事件」は初見だとツンデレ暴力ヒロインが暴走してしまうラブコメパートにしか思えませんでしたが実はこれ、数多くの伏線が貼られているイベントです。
本作は何気ないラブコメパートに重要な要素を伏線を張っていることが多いので後半の伏線回収は見事としか言いようがない。
終盤は爆死エンド以外にも乙羽エンドや志乃歌エンドといった個別ルートも用意されています。
これらはハッピーともバッドとも言えない内容ですがシリアスすぎる展開にぼくの目はSwitchに釘付けでした。
人を選ぶ要素が多い尖った作品ではありますが日常が非日常へ変わっていく、謎が謎を呼ぶ展開、いくつもの張り巡らされた伏線と後半の伏線回収といったノベルゲームの醍醐味を味わいたい人は是非ともプレイしていただきたい。