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一貫したテーマとメッセージ性の強いCHARONの異色作品【ほろびのゆりかご】のレビューです!




おしりです。

今回はヤンデレホラーゲームブランドCHARON株式会社のねこふじかおる様が制作されたアドベンチャーゲーム

ほろびのゆりかごが深い内容だったのでその感想などを書いていきます。

まず基本的な情報ですがヤンデレホラーゲーム株式会社CHARONの作品なのでいつも通りヤンデレホラーなアドベンチャーゲームです。

対応機種はPCで価格は無料ふりーむやDL siteにて配信中です。

主人公「ホタロー」は

みんなのお母さんのような存在で優しく料理や洗濯をこなすメギ

クールで冷たい眼差しの男か女かわからない人ミクリ

ホタローと同い年の女の子ツナ

おっとりとした読書家のエンゼリカ

 

この4人の女の子と白い閉鎖空間のような場所で生活をしています。

ある日、メギとエンゼリカは 地下に食料を取りに行くというが・・・

 

というあらすじです。

悲しい結末しか用意されていないゲーム?

CHARON作品といえばハッピーエンドなのに女の子が死ぬなど、大体どの作品のどのエンディングでも血が流れますが本作もやっぱり多くの血が流れます。

 

大きく分けてメギが生存するAルートとメギがいなくなるBルートに分岐してそこからAルートのエンディングが数種類

Bルートのエンディングが数種類、といった具合にもう1段階分岐します。

あまりネタバレしすぎるのも気がひけるので私的に好きだったAルートの内容に少し触れていきましょう。

 

Aルートではメギが生存するので

ホタローを含む5人家族はこれまで通り白い場所で平和な暮らしを続けることとなります。

 

ですがこれまで通り平和な日々を過ごして一生を終えました 完!

なんてやったら物語的にめちゃくちゃ面白くないのでこの5人はとある問題にぶつかります。

その問題とは、

食糧不足です

実はこの問題にミクリが勘付いていてミクリは食料が尽きる前に全員でこの白い場所から旅立ち食料や水があるかもしれない外の世界「トウキョ」を目指すことを提案するのですがメギはそれに反対します。

メギの望みは「餓死するまでの期間は短いけれどこのまま平和に一生を終えること」でした。

となると「危険を承知で水も食料もあるトウキョを目指す」というミクリとは対立してしまいAルートはラストを迎えます。

ということで選択の時です。

あなたは生まれてから一緒に暮らしてきた最愛の女性2人のうちどちらを殺しますか?

そういう目を背けたくなるような選択を迫られます。

 

このまま食料が尽きるまで平和に暮らし死を待つだけの生活?

それとも生きるために危険な外の世界へ旅立つ?

それは我々プレイヤーが家族を殺すという方法で決めるのです。

 

印象深かったのがミクリを撃ちメギと食料が尽きるまで平和に暮らす「最後の晩餐」ですね。

メギの意見に同調しほろびの時を一緒に迎えるエンディングなのですが

ホタローとメギが泣きながら死んでいくラストはみていてこちらも泣きそうになります。

 

もう片方の分岐、Bルートではメギがいなくなるので残された4人が閉鎖空間でメギの抜けた穴を埋めるため協力

できればよかったんですがこのルートはそれまで家事全般を担っていたメギが消えたことによる混乱

それに加えて原因も犯人も不明な火災が発生したりと閉鎖空間で疑心暗鬼になる4人の様子が描かれます。

 

この展開は絵的にはそれほど怖くないですが完璧だったものが徐々に崩れていく様子をじっくり見せられているかのようなそんな感じのねっとりとした怖さを感じました。

 

ちなみにBルートのラストはどうしようもないくらいに後味が悪いです。

こんな感じに本作はどのルートのどのエンディングでも家族がバラバラになっていく非常に重い内容です。

RPGツクールMVでの制作されたADV

エンディングまでの重要なイベントやその後の展開などはすっ飛ばしてますがほろびのゆりかごの雰囲気は大体そんな感じです。

主なゲーム性はプレイヤーの選択によってストーリーが分岐するアドベンチャーゲームですがRPGツクールMVにて制作されているので

白い場所の中を移動したり調べることでメインストーリーでは細かく語られなかった情報を得ることができます。

それらは本作ほろびのゆりかごのテーマや細かい設定を示唆するような内容だったりします。

これらは調べなくても本編を進めることは可能ですが一部は伏線的な役割を担っていたりするので面倒でもできるだけ調べといた方が良いです。

つまり、作り込みはすごいってことですね。

それ以外にも女の子の部屋にあるトイレの匂いを嗅ぐことで称号を手に入れることができたりちょっとした遊び心も搭載されています。

プレイヤー精神をすり減らすホラー描写

ではホラー描写について触れていきましょうか。

公式サイトには

※このゲームには恐怖演出が含まれています。苦手な方はプレイしないでください。

と記載されていますが全体的にホラー描写がめちゃくちゃ多いわけではないです。

 

その代わりその多くないホラーシーンはグロテスクな表現だったりBGMのおかげでものすごく不気味です。

それもストーリーが進むにつれてホラーな描写は増えてきます。

最初はその日の出来事が原因で悪夢を見てしまうくらいだったのに終盤では家族がエグい最期を迎えてしまうので

その衝撃度はかなり高いです。

 

CHARON作品は主にヤンデレホラーがメインなのですがこちらは「ヤンデレヒロインの奇行」というよりかは

「ストーリーが進むにつれて明らかになる残酷な真実」に対して恐怖を感じました。

なのでCHARONの他作品と比較するとヤンデレホラーではなく普通のホラーなのである意味新鮮かもしれません。

総評 CHARON作品にしては前向きな内容

ネタバレ防止のため物語の核心に迫るような場面は省いていますがほろびのゆりかごの内容はこんな感じです。

 

これまでCHARON作品を10作品ほどプレイしてきたのでそれらと比較するとものすごく異色の作品に思えました。

特にそう感じたのがヤンデレヒロインではなく世界観やストーリーに力を入れているところですね。

他作品の内容って「ヒロイン全員がサイコパス」「ヒロイン全員メンヘラ」みたいに各ヒロインを楽しむ恋愛ゲームだったのに対して

こちらは作り込まれた設定や「人生は選択の連続である」という一貫したテーマのもとストーリーが進行、分岐していきます。

 

「人生は選択の連続」は誰しも必ず考えたことはあるだろうし身近で重要なことですよね?

確かに人生って選択の連続ですし「あの時ああしていれば」とか考えてもやり直しはできないので

自分の選択が正解だったのかどうか確かめることもできません。

だからか作中ではホタローの選択を責めるような人物はいませんしどんなに辛いことが起きても前向きに生きるように励ましてくれます。

(だからといって明るい空気にはなりませんが・・・)

 

それに加えてA、Bルートの内容も”残された者”だとか”旅立つ”ことがテーマになっていると思いました。

これって現実でもさまざまな環境の変化に置き換えることができると思うんですよね。

 

例えばAルートのラスト、ミクリが提案したように閉鎖空間から出て

トウキョを目指すことは現実だと実家を出る、今の安定した待遇を捨てて転職する、といったことに置き換えることもできますし

Bルートのメギが居なくなることについては↑とは真逆の

家事をこなしていた母がいなくなる、職場で重要な役割をこなしていた人物が異動するといった出来事に置き換えられます。

 

こういった作品のテーマを意識して進めていくと本当に面白いです。

AとBルートは手放しに喜べるエンディングではないですがトゥルールートはこれまでのモヤモヤが晴れる

どちらかというと王道寄りな展開でトゥルーエンドはカタルシスを得られました。

この辺りも他作品と比べて前向きな終わり方をすることから結構万人受けする内容、というか重厚なストーリーを求める人は絶対に楽しめる内容だと確信しました。

 

「ねこふじかおる先生が代表作と公言している」それだけの理由でプレイしてみましたが納得の作り込み、メッセージ性です。

プレイ時間はトゥルーまで2時間〜3時間といったところですがプレイ時間の割にものすごく印象に残る作品です。

 

ヤンデレホラーの皮をかぶっていますがCHARON作品にしては珍しくヤンデレホラーではなく人生観だとか選択がメインの作品なので3時間暇な時間があれば全日本人にプレイしていただきたい。

そんなレベルの良作だと思いました。

↓CHARONゆにばーす URL
【https://enoshima210.work/】

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